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小澤デシルバ慈子
Dr. Chikako Ozawa-de-Silva,
エモリー大学教授文化人類学と日本研究
Department of Russian and East Asian Language and culture, Emory University
講演概要
日本社会の孤独に関する近年の研究では、孤独とは、一人でいるという物理的な状態のみを指すのではなく、認知され感知される社会的な「孤独感」であり、居場所やつながりの感覚の欠如であるということが議論されている。もしそうだとすると、孤独への対策は、孤独を個人の問題とする見方から、社会的な条件が若者を孤独感や自殺願望へと向かわせているという見方への転換が必要である。講演の前半では、社会問題としての孤独について概観し、後半では、孤独への対策や応答としての観想教育の可能性について検討する。特に、世俗化された観想的実践としての「内観」の教育的可能性に着目する。内観は、相互的関係性を中心に据える観想的実践であり、すでに観想教育の一形態として、学校や刑務所などで取り入れられている。そのほか、人間観の文化的なシフトが必要であることを検討する。子供や大人を道具的に目的志向で捉え、本来備わる能力を見ずに、個人の成果やパフォーマンスのみを測り、評価するような方法からの転換が必要なのではないか。
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